9月5~7日、清酒・焼酎製造技術セミナーが開催されました。
最初の講演は、東京大学、阿部啓子氏の「味覚に関する最新情報」と題して、現在、世界で最もホットで熾烈な競争を巻き起こしている研究対象である甘味受容体を中心にお話しいただきました。甘味受容体の構造が明らかになり、甘味物質が受容される仕組みや、他の成分が甘味受容体に影響を及ぼして、甘味の応答が影響される様子等、清酒の官能評価にも大変示唆に富んだご講演でしたので、もう少し講演時間を用意すべきだったと反省しました。焼酎製造技術に関するご講演では、ナノミストテクノロジー(株)松浦一雄氏の「超音波霧化分離法を用いた低沸点有機化合物の高濃度化と不揮発成分の濃縮」は、清酒製造の工程から生まれた技術が、現在、エタノール高濃度化装置によるバイオエタノール製造や、海水の淡水化等に応用され、世界各国での実証試験が紹介されました。また、エタノールの霧化による分離理論は、エタノールと水のクラスター構造を反映していることから、熟成に伴う香味変化を知る研究に役立つかもしれない技術として、興味深い講演でした。