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第110巻3号 協会だより

弥生3月、本年は「節分」の翌日2月4日が立春。本来、「節分」は年に4回あり、四季の分かれ目、「立春」、「立夏」、「立秋」、「立冬」の前日を総称して「節分」と呼んいるとのことです。なかでも厳しい冬の寒さを乗り越え、暖かな季節の春を迎える「立春」の「節分」はとりわけ目出度いとされ、以前は「立春」が新年の始まりと同じくらい重要視されるようになったと言われています。因みに平成27年の旧正月は2月19日。とは言え、皆様の製造場では、吟釀醪の最盛期から終盤にかかる気の抜けない時期、健康と作業の安全にくれぐれもご留意下さい。
 
ところで、その「立春」の週末2月7日、以下のプログラムで第4回日本微生物学連盟フォーラムが日本醸造学会兒玉会長を世話人代表として東京で開催されました。
 
開会挨拶(日本醸造学会兒玉会長、第4回日本微生物学連盟フォーラム世話人代表)
キーノートレクチャー「麹菌と和食の文化」 小泉 武夫氏(東京農業大学名誉教授)
第一部:発酵・醸造食品側から観た微生物
 「醤油醸造で活躍する微生物」松山 旭氏(キッコーマン(株))
 「うま味調味料と微生物」外内 尚人氏(味の素(株)バイオファイン研究所)
 「和食と日本酒 これまでとこれから」秦 洋二氏(月桂冠(株))
第二部:微生物側から観た和食
 「国菌コウジカビ(麴菌)」一島 英治氏(東北大学、東京農工大学両校名誉教授) 「微生物としてのきのこと、きのこの食材としての価値を考える」寺下 隆夫氏                 (近畿大学名誉教授)
 「わが国伝統発酵食品に生息する乳酸菌の株多様性とそれらの機能性」岡田早苗氏               (東京農業大学応用生物科学部生物応用化学科)
総合討論・まとめ
閉会挨拶 笹川 千尋氏(日本微生物学連盟理事長)
 
当日、東大駒場キャンパス内の会場21KOMCEEは、一般の方、高校生等200名を超える聴衆で満員の盛会でした。本年ミラノで「食とエネルギー」をテーマに開催される国際博覧会等、海外でもこういった講演会が開催されることを期待し、主催者である「日本微生物学連盟」の開催趣意書を引用させていただきました。
 
『ユネスコ無形文化遺産「和食」とそれを支える微生物』開催趣旨
ご承知のように、2013年12月に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録され、いまや「和食」は日本国内のみに留まらず、世界中で注目されるようになりました。登録の副題にあります通り日本の伝統的な食である和食は、四季や地理的多様性に富むわが国において古来綿々と受け継がれてきたものですが、そこには自然に生息する数多くの微生物の機能や菌体そのものが取り入れられており、それに日本人の知恵や工夫が加えられて素晴らしい食文化として花開いたものです。
本フォーラムでは和食に欠かすことのできない味や香りなどを造り出し食を豊かにしている微生物について、発酵・醸造によって造られた食品の側と利用されている微生物の側の双方から観ることにしました。具体的には、前者では味噌・醤油、うま味調味料、清酒を、後者では麹菌、きのこ類、乳酸菌を取り上げてそれぞれ専門の先生方にお話を伺います。これを機会に皆様と一緒に和食文化について再認識し、次世代に向けてこれを保護・継承するべく考えてみたいと思います。