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第109巻7号 協会だより

夏至(げし)は、24節気の第10。1年で最も昼が長く、今年は6月21日。夏至には冬瓜(とうが・とうがん)を食べる習慣があるようですが、冬瓜は、夏バテ防止・熱さまし・利尿効果などがあり夏にぴったりな食物。ところで、気象庁によると、今夏はペルー沖の太平洋赤道海域で海面水温の高い状態が続き、異常気象の原因となる「エルニーニョ現象」が発生する可能性が高いとのこと。このため、日本付近では夏の暑さをもたらす太平洋高気圧の北への張り出しが弱いと予想されています。前回、エルニーニョ現象が発生した2009年の夏は北・東・西日本は日照不足で冷夏に見舞われ、7月に中国・九州北部豪雨に見舞われ、作柄や酒米の醸造特性に大きな影響があったことは記憶に新しく、今後の気象予報が気がかりです。
引き続いて醸造協会主催のセミナーが開催されていますので、2,3紹介します。
◆第19回 女性セミナー 6月3・4日に東京・北区の”北とぴあ”で28名の参加者を得て開催されました(下部掲載写真上段)。今回は、参加者参加型の演題が2題、山中酒の店・瀧川 知里氏による「食中酒」~料理と合わせて生きてくる酒の酒質~と福光屋 岡本 亜矢乃氏による 「女性だけの商品づくり」があり、全体に大変インパクトのあるセミナーになりました。前者の瀧川氏は、大阪の地酒専門店で、常時約450種類の清酒を店内のフロワーで数種類の料理と共にきき酒できるようになっており、講演では、実際に提供される料理と相性のよい清酒をきき酒で確認しながらの講演でした。後者の岡本 亜矢乃氏は「福光屋 酒炭酸」の開発経緯を詳細に紹介後、自社の「商品開発コンセプトシート」を使用し参加者5グループごとに実際に新製品の開発を行うものでした(下部掲載写真下段)。各グループから酒類の新製品から酒粕の利用法まで幅の広い発表になり、中には実用新案の可能性がある提案がなされたことには驚きました。

 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
◆清酒製造入門セミナー 5月20~23日清酒製造入門セミナーが当会館で開催され、昨年度とほぼ同数の24名の参加をいただきました。清酒製造関係者が大部分ですが、最近は、異業種からの参加もあり、醸造の化学・物理などかなり基本的なところから、微生物実習、分析実習、官能評価実習など取り入れ、実習で納得できなかった方のための時間を設けています。本セミナーには、初日の講義後の懇親の場が持たれました。ほとんどの方が参加され、全国的な話題が飛び交う中、若者の盛り上がりに力強いものを感じました。
◆平成25年度定時評議員会・理事会 6月12日に開催され、各議案ともご承認をいただきましたが、その概要を紹介します。定款に定められている各事業については、概ね順調に執行されていると評価され、特に、醸造微生物等遺伝資源の収集と保存と、その果実である醸造用酵母の新規開発が順調に実施されました。問題点として、醸造協会・醸造学会員の減少に歯止めがかかっていない現状にあり、昨今の経済状況から会員の増加は困難な状況ではありますが、HP等を利用して積極的に新規加入を勧誘しました。会終了後、役員から酒類総合研究所 東京事務所業務の維持・発展の要望があり、その他、ミラノ万国博で「食」が取り上げられるので、日本醸造協会、日本醸造学会の積極的な協力、関与を検討してほしいとの要望がありました。