福島県ハイテクプラザ 会津若松技術支援センター 鈴木賢二

3月
19
2012

福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター鈴木賢二

ご氏名をお願いします

鈴木 賢二 (すずき けんじ)

現在のご所属などは?

福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター 醸造・食品科 科長

思い出の醸造物 or 好きな醸造物 or 最近はまっている醸造物などを一品教えてください

トマト酢(思い出の醸造物)

その理由やその醸造物にまつわるエピソードをぜひ!

昭和60年、私が就職して初めて担当したのが、このトマト酢の試作である。福島県には南会津地方に南郷村(現:南会津町)があり、トマトの一大産地となっている。ここでは、生食用のトマトを生産しているが、規格外品のトマトを年間約20トンも廃棄処分しているという。もったいないと思い、当時流行していた「健康酢」の開発を任された。通常、酢の醸造は糖分をアルコール発酵させ、その後、得られたアルコールを酢酸発酵させて食用酢とする。しかし、トマトには糖分が2%程しかない。そこで、搾ったトマト果汁にアルコールを添加し、その後、酢酸菌を添加、酢酸発酵を経て完成にこぎ着けた。さて、このトマト酢、あまりおいしくない?と正直決めてかかっていたが、飲んでみると信じられない美味!、トマトにはもともとクエン酸を始め様々な有機酸が含まれているためか、それともタンパク質が比較的多いためか?酸味がやわらかく、適度なトマトの香りと相まって本当に飲みやすい。

素晴らしい酢が出来たので、地元農協にその旨を伝え、理解を得て約2000リットルの本格醸造へ。できあがった酢は300mlずつ瓶詰めされて、南郷村の農協組合員へ試飲のため配られた。しかし、組合員からの反応は予想のほか悪く、製造はあえなく中止となってしまったまま、今日に至っている。

美味しいのにな~と残念に思いながら20数年、先日、パソコンで「トマト酢」の宣伝を目にした。(株)ライオンのものだ。やっぱり商品価値はあった。今や他社からも製造販売されている。開発した時代が早すぎたのかな?

ご略歴

昭和36年福島県三春町生まれ

昭和60年岩手大学農学部農芸化学科卒業

同年、福島県に採用。福島県会津若松工業試験場 食品部 食品科学科 勤務

平成4年機構改革により、福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター

醸造食品科に名称変更

平成20年福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター 醸造・食品科長となり、現在に至る

ご趣味

デニス:本人はテニスと思わしきも、端から見ると違うスポーツ。

スキー:自宅の裏山に「アルツ磐梯スキー場」があるので仕方なく。

飲 酒:最も金銭と時間を費やしているので・・・。ついでに一番好きかな。

ご紹介者・細井様からのメッセージ

近年の全国新酒鑑評会で福島県が好成績を残している立役者です。出品酒のみならず、市販酒での技術的なサポートには皆感謝しております。震災後の大変な状況にある福島県の酒造業界を、技術面を含めましてご指導ください。よろしくお願いいたします。

細井様へメッセージを!

飲酒が趣味なので美味しい酒を飲みたいだけです。比較的甘口が好みなので、私が指導するとどうしても甘くなっちゃうかな。でも、日本酒は本当においしいですからね。業界が右肩上がりになるよう頑張ります。

最後に今後の抱負や期待することを教えて下さい!

幸い、私どもの福島県は、近年、全国新酒鑑評会で上位の成績を収められるようになりました。でも、同時に考えていることは、この技術を市販清酒に生かしていくことです。当然、市場も変化していますから、市場への対応も大事だと考えています。それとこれからは、日本酒と料理との相性も発信していきたいと思います。幸い、趣味は飲酒! いろいろな形で日本酒の良さを発信したいと思います。

 

タイトルとURLをコピーしました